FIRE達成を実現する為に知っておきたいインカムゲインとキャピタルゲイン
FIRE(Financial Independence, Retire Early)の目的は、経済的な独立を早期に達成し、働くことに縛られない自由な生活を送ること。その実現のためには、投資による資産形成は欠かせない。
会社に属さないで生活するには、資金を効率的に投資し、長期的な視点で資産を運用するスキルを身に着ける必要がある。
この記事では、FIRE達成を実現する資産運用について理解する上で欠かせない、インカムゲインとキャピタルゲインについて詳しく解説していく。

■インカムゲインとキャピタルゲインとは
投資から得られる収益は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の大きく2つのタイプに分けられる。それぞれの特徴を簡単に説明する。
インカムゲイン
インカムゲインは、資産を保有している間に得られる継続的な収益のこと。
インカムゲインは安定した収入を得ることができるため、長期的な資産運用に向いている。
具体的には以下のようなものがある。
❶配当金
株式投資において、企業が利益の一部を株主に分配するもの
❷利子収入
債券や預金などから得られる利子収入
❸賃貸収入
不動産投資において、物件を賃貸することで得られる家賃収入
不動産賃貸業については以下の記事で触れているので参考にしてみて欲しい。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインは、資産を売却することで得られる売却益のこと。
キャピタルゲインは一度に大きな利益を得ることができる可能性があるため、短期間での資産増加を目指す場合に適している。
具体的には以下のようなものがある。
❶株式の売却益
株式を購入価格よりも高い価格で売却することで得られる利益。
❷不動産の売却益:
不動産を購入価格よりも高い価格で売却することで得られる利益。
❸その他の資産の売却益
貴金属やアート作品など、他の資産を売却することで得られる利益。
■インカムゲインとキャピタルゲインの弱点
投資にリスクはつきものであり、投資家はそれにどう対処するかが問われる。
どちらの投資方法選ぶにしても弱点は存在する。先ずどこに弱点があるかを理解しよう。
以下に主なものを挙げてみる。
インカムゲイン
❶利益が少ない
インカムゲインは安定した収益を得られる一方で、キャピタルゲインに比べて一度に得られる利益が少ない。例えば、株式の配当金や債券の利子は比較的少額であり、大きな利益を得るためには相応の元手が必要となる。
❷インフレリスク
インカムゲインは固定収入であるため、インフレが進行すると実質的な購買力が低下する可能性がある。特に長期的な投資では、このリスクを考慮する必要がある。
❸元本割れのリスク
例えば、高配当株に投資する場合、企業の業績悪化等の要因により株価が買った時の価格より下落するリスクがある。
キャピタルゲイン
❶大きな損失のリスク
キャピタルゲインはハイリスク・ハイリターンの投資。株価が暴落したり、企業が破産したりすると、投資した資産の価値が大きく下がる可能性がある。
❷売却のタイミングが重要
キャピタルゲインを得るためには、資産を売却する必要がある。売却しない限り、評価益あるいは評価損の状態。売却のタイミングを誤ると、利益を得られないどころか損失を被ることもある。
❸安定性の欠如
キャピタルゲインは短期間で大きな利益を狙える反面、長期的に安定した収益を得るのは難しい。
■FIREを実現するためのカギとなるのはインカムゲイン
FIREを実現ためには、安定した収入源の確保が必須となる。長期的に安定したインカムゲインを得ることで、早期リタイア後の生活費をカバーすることができる。
つまり、インカムゲインが得られる投資対象を長期運用するのが適していると言える。
インカムゲインが期待できる主な投資とは
インカムゲインが期待できる主な投資対象には以下がある。
それぞれのメリットも併せて解説する。
・不動産投資
所有している不動産を賃貸に出して賃料収入を得ることで、安定したキャッシュフローを確保できる
・高配当株
安定したインカムゲインを得るために、高配当株への投資も有効。配当利回りが高い企業の株式を保有することで、定期的な収入を得ることが期待できる。
・ETF(上場投資信託)
ETFは分散投資が可能で、取引所で売買できるため流動性が高い。配当を重視したETFに投資すれば、安定した収入が得られる。
なぜFIREを実現するために長期運用が必要?
FIRE実現の為にインカムゲインを長期運用することには、複利効果を狙う目的と、市場の変動に対応する目的がある。
・複利効果
長期的に投資を続けることで、複利の力を最大限に活用できる。複利とは、得られた利益を再投資することで、元本と利益が雪だるま式に増えていく効果。時間が経つほど、この効果は大きくなる。
・市場の変動に対応
短期的には市場の変動は激しいことがあるが、長期的には市場は成長する傾向がある。長期運用をすることで、一時的な市場の下落に対しても耐えられるようになる。
■まとめ
実際のところ、投資においてインカムゲイン狙いとキャピタルゲイン狙いを分けることは出来ない。
私の場合だと、不動産をインカムゲイン狙いで投資しているが、ケースバイケースで売却する時もある。
また不動産の家賃収入で得たキャッシュを使って、高配当ETFに長期運用目的で投資し、期ごとの配当金を得ながら、プラスで含み益(時期によっては評価損)を得ている場合もある。
会社に頼らないFIRE生活を目指すには、インカムゲインとキャピタルゲインそれぞれのメリットとデメリットを理解した上で、自分に合ったポートフォリオ作りを目指して欲しい。
著者 上岡健司
株式会社ユリウス 代表取締役
IT企業の会社員として30年勤務した後、早期退職を利用してサラリーマンを卒業。会社員時代には、アジア地域3ヵ国に10年以上駐在。在職中にロバートキヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読み感銘を受ける。経済的自由の大切さに目覚め、不動産投資を開始し、約10年掛けて経済的自由を獲得。不動産投資で経済的自由を獲得後、資産運用の一つとして証券投資にも取り組み資産運用の幅を広げている。在職中から税制面など、より効率的な資産運用を目的に資産管理会社を設立。このサイトでは、自身のFIRE実践者としての経験に基づいた情報を発信している。
AFP(日本ファイナンシャルプランナー協会認定)、宅地建物取引士資格合格
著書
❶『令和のサラリーマンの為のFIREのススメ』(Amazon電子書籍)
❷『FIRE Recommendation for Office Employee』(Amazon Kindle)