FIREで海外移住|タイ長期滞在ビザの費用・条件を徹底解説|2025年版
当サイトのブログ記事ではFIRE達成後の選択肢のひとつとして「海外移住」をご紹介している。
FIREで海外移住する為に必要な費用や海外での生活費など、お金にまつわる事を中心に解説しているが、海外へ移住する為にはお金の面だけでなく、滞在する為に必要なビザの種類や取得条件についても気にしておく必要がある。
我々日本人は観光目的などの短期滞在であればビザを取得せずに渡航できる国が多いため、海外に住んだ経験のない人からするとビザを取得するという感覚自体がピンとこないかもしれない。
しかし、長期的に滞在する(移住する)為には、ビザの取得は必要不可欠である。
今回は私が住むタイの長期滞在ビザの費用や取得条件に付いて詳しく解説していこうと思う。

タイで長期滞在するための主なビザの種類
タイは観光目的の渡航の場合、ビザなしで60日間滞在することが出来る。
それ以上長い期間滞在する為にはビザの取得が必須になるのだが、主に以下のビザが該当する。
- リタイアメントビザ
- タイランド・プリビレッジ(旧タイランド・エリート)
- DTV(デスティネーション・タイランド・ビザ)
- LTR(ロングターム・レジデント・ビザ)
- 留学ビザ
- 就労ビザ
留学ビザと就労ビザについては、タイでの勉強や就労を目的としたビザであり、今この記事をご覧頂いている方の知りたい事とはズレが生じるため、解説は割愛する。
その他、結婚ビザやボランティアビザなどのあらゆる長期滞在向けビザがあるが、条件が厳しく現実的ではない為、知りたい方は在日タイ大使館のサイトをチェックしてほしい。
ということで以下では1~4番のビザの取得条件と費用について解説していく。
リタイアメントビザの取得条件・費用
リタイアメントビザは年齢が50歳以上の方が申請できる長期滞在ビザで、3か月・1年・10年の3種類がある。
3か月のビザはシングルビザと言い、ビザ有効期限中にタイを出国するとビザが失効してしまう。
その他2つはマルチプルと言い、有効期限内の出入国制限は無い。
年金受給証明や、タイ国内の預金残高証明などが必要にはなるが、今回ご紹介する中では最も低コストでビザを取得することが出来る。
取得条件や取得費用は下記の通り。
【取得条件】
- 申請時の年齢が満50歳以上
- (3か月・1年)過去3か月のタイの預金残高が800,000バーツ以上である事または、毎月65,000バーツ以上の年金受給がある(いずれも英文証明書が必要)
- (5年)タイの預金残高が300万バーツ以上である事または、180万バーツの預金と年間120万バーツ相当の収入がある
【取得費用】
3か月:11,000円
1年:26,000円
5年:52,000円
3か月のビザはタイ国内での更新が出来ないが、1年と5年は1度だけ国内での更新ができるため、1年のビザなら2年、5年のビザなら10年間タイに滞在する事が可能。
タイランド・プリビレッジ(旧タイランド・エリート)の取得条件・費用
タイランド・プリビレッジは、かつてエリートビザと呼ばれていたもので、いくらかの会費を支払うことで長期滞在権を得ることが出来るものだ。
会員はブロンズ・ゴールド・プラチナ・ダイヤモンド・リザーブの5種類に分かれており、最短で5年間、最長で20年間滞在する権利を得ることが出来る。
滞在権を購入できるだけでなく、空港でのVIP待遇やタイ国内の様々な施設の優待を受けられるのが魅力だ。
取得の条件は特にないが、各ランクの価格と滞在期間は下記の通り。
【費用と滞在期間】
- ブロンズ:5年間滞在可・65万バーツ
- ゴールド:5年間滞在可・90万バーツ(ブロンズよりも特典が多い)
- プラチナ:10年間滞在可・150万バーツ
- ダイヤモンド:15年間滞在可・250万バーツ
- リザーブ:20年間滞在可・300万バーツ
ランクが上がる程タイで受けられる特典が増えるのが特徴だが、20年間滞在したいが特典は不要という方は5年に一度ブロンズを取得し直す方が安いという不思議な価格設計になっている。会員になる事を検討している方は特典の内容もじっくり見てからランクを決める事をおすすめしたい。
DTVの取得条件・費用
DTV(デスティネーション・タイランド・ビザ)はデジタルノマドやフリーランサー向けの長期滞在ビザで、有効期間は5年間である。
しかし、1回の入国で滞在可能な期間の上限は180日と定められており、期間中に1度だけタイ国内で延長申請が可能。
つまり、ビザ有効期間は5年だが半年または1年に1回は国外へ出なければならないということになる。
一見面倒そうな仕組みに思えるが、移住後も一時帰国や周辺国への旅行をする方が多いかと思うので、そこまで厳しい条件とは言えないだろう。
DTVの取得条件・費用は下記の通り。
【取得条件】
- 50万バーツ以上の残高証明ができる
―――以下いずれか1つに当てはまる必要あり―――
- タイでのリモートワークが認められた会社員であること
- 会社経営者であること
- デジタルノマド・フリーランサーとして収入があること
- ムエタイやタイ料理を学ぶコースを長期間受講する人
【取得費用】
52,000円
FIRE後も法人の代表として、または個人事業主として納税を続ける方には向いているが、働くつもりがない方にとっては活用が難しいかもしれない。
また、提出書類が前述の2つのビザよりも多く複雑である為、興味のある方は必ずご自身で大使館のホームページをご確認頂きたい。
LTRの取得条件・費用
LTR((ロングターム・レジデント・ビザ)、富裕層ビザと呼ばれる事もある長期滞在ビザだ。
取得費用は高額だが有効期間が10年間と長く、空港でファストレーンの使用が可能など、一部タイランド・プリビレッジのような特典を受けることが出来るのが魅力だ。
対象者は高所得者と高度技術を持つ専門家で、ポテンシャルの高い外国人をタイに住まわせることでタイの経済を成長させるという狙いがある。
取得条件・申請費用は下記の通り。
【取得条件】
- 国内外の総資産が100万ドル以上あること
- 直近2年間の年間所得が8万ドル以上あること
- タイ国内への投資額が50万ドル以上あること
※50歳以上の場合は国内外の総資産額は問わず、投資額や年間所得額の金額も緩くなる。
【取得費用】
26万円
ロボティクスやデジタル産業など、次世代のタイに必要な産業に関わる職に従事する者もLTRが取得できるが、タイでの雇用証明等がある事が前提となるため今回は割愛したい。
お試し移住には観光ビザがおすすめ
タイだけでなく日本以外の国へ移住するのであれば、移住前にまずは短期間のお試し移住をすることをおすすめしたい。
なぜなら実際に住んでみないと、長期的な滞在が出来る国かどうか判断し難いからだ。
タイは観光ビザを取得すれば最長90日間滞在することが出来るので、お試し移住の際は観光ビザがぴったりである。
3か月もの期間があれば、海外生活が自分に合うかを確かめるだけでなく、実際にかかるコストもリアルにイメージしやすいだろう。
お試し移住をする事で海外移住後の失敗や後悔も減らすことが出来るため、資金や時間に余裕のある方は是非計画して頂きたい。
おすすめの移住先や海外移住の準備については以下の記事にもまとめているので是非参考にしてほしい。
まとめ
この記事ではタイに長期滞在する為のビザに関して、種類や取得条件などの詳細を解説した。私個人は現在も就労ビザでタイに在留しているが、リタイア後は今回ご紹介したようなビザを取得した上でタイに滞在したいと考えている。
タイだけでなく東南アジアの他の国でも、ある程度の資産があれば長期滞在向けのビザを取得することが出来る国はいくつもある。
FIRE後に海外移住を考えている方は移住候補地のビザ種別や取得条件を確認し、その為の資産を形成する事も念頭に置いておいた方が良いだろう。
尚、今回の記事は2025年3月15日現在の情報である。最新情報については以下の参考サイトを確認してほしい。
参考サイト:https://site.thaiembassy.jp/jp/visa/type/
著者 石田由希(いしだ・ゆうき)
タイ在住ライター
2017年に念願のタイ移住を果たし、現地の日系人材会社で営業兼キャリアコンサルタントの職務に従事。
ライターとしての活動は2019年より開始し、主にタイの暮らしや海外移住に役立つ情報を国内外のメディアで発信中。自身の移住経験を基に、これから海外移住する方が後悔しないためのリアルな情報発信をモットーに、日々執筆をおこなっている。
これまで寄稿したメディアはタイ関連にとどまらず、国内外の旅行関連、地方自治体、食品メーカー、教育機関など多岐に渡る。