【2025年版】タイの物価は安くない?現地在住者に聞いたリアルな物価と快適に過ごす為の生活費
FIRE後の過ごし方として注目される海外移住。中でも物価が安く日本への行き来もしやすい東南アジアは人気の移住先だ。
私はタイに移住して丸7年が経つが、実際に物価が安く過ごしやすい側面を肌で感じている。
しかし昨今の円安においては、この「物価が安い」という側面を感じにくくなっており、首都バンコクに至っては東京と変わらないのではないか?という程、物価が上昇しているのが現実だ。
そこで今回は私の住むタイ・バンコクの物価と、そんなバンコクで快適に過ごす為の生活費について解説していきたいと思う。
海外移住にかかる初期費用に関しては別の記事で解説しているので以下を参考にしてほしい。

タイの物価上昇と円安の関係について
生活用品などの物価について説明する前に、タイの物価が安くないと言われる背景について簡単に解説しておきたい。
私がバンコクの物価が東京と変わらないのではないか?と感じる理由はタイの物価上昇率と円安が関係している。
以下ではタイと日本の物価上昇率および為替レートの推移について説明している。
タイと日本の物価上昇率推移
【タイの消費者物価指数】(参照元:Thailand Consumer Price Index (CPI) YoY)

上の画像は2025年から過去5年間におけるタイの消費者物価指数(CPI)の推移である。
タイの物価上昇は2023年にピークを迎え、その後の上昇は緩やか。2025年5月時点では約8か月ぶりのマイナスとなった。
【日本の消費者物価指数】(参照元:Japan National Core Consumer Price Index (CPI) YoY)

一方で日本のCPIは2023年から現在まで上昇が続いている。
直近だけを見ると物価上昇率が高いのはタイよりも日本の方であるという風に見えるが、過去5年間の上昇率を比較すると、タイの方が日本よりも物価上昇率が高いと言える。
円安の加速における影響
物価上昇に伴い、バンコクを始めとするタイの中心部では物価安を感じづらくなっているのだが、ここに円安の加速における影響が加わっている。

(参照元:THB/JPY リアルタイムチャート – Investing.com)
上の表は2025年から過去5年間のバーツの価格推移である。
2020年~2021年頃は1バーツ3.5円前後で推移していたのが、2024年頃から4.0円を上回り、2025年5月時点では4.3~4.5円で推移している。
上昇率は約35%となり、日本円で生活をする人にとっては過去5年間で物価が35%上昇したのと変わらない影響がある。
私個人としてはタイバーツで収入を得て、それをタイ国内で消費している身なので大きな影響はないが、日本円でも収入を得ている駐在員やタイに住みながらリモートで日本の仕事をしているフリーランサーなどにとっては大きな痛手だろう。
タイ・バンコクのリアルな物価調査
ここからタイ・バンコクのリアルな物価について調査したものをまとめていきたい。
以下の項目に分け、平均的な価格帯をご紹介していく。
- 食料品・日用品
- 外食(タイ料理/日本料理)
- 家賃
- 水道光熱費・通信費
- 交通費
尚、日本円への換算レートは執筆日のレートを参考に1バーツ=4.4円で計算している。
また、ご紹介する価格は最安値ではなく平均的な価格である。
食料品・日用品
タイのスーパーで販売されている食料品や日用品の平均的な価格は下記の通りである。
品目 | タイバーツ(日本円) |
水(500ml) | 10バーツ(44円) |
鶏肉(100g) | 20バーツ(88円) |
玉ねぎ(1個) | 20バーツ(88円) |
ビール(350ml) | 50バーツ(220円) |
トイレットペーパー(6ロール) | 90バーツ(396円) |
洗濯用洗剤(800g) | 60バーツ(264円) |
シャンプー(380ml) | 160バーツ(704円) |
食料品は日本よりも安いものが多いが、毎日の生活に必要な日用品類は日本と同じくらいか少し高いような印象がある。
外食(タイ料理/日本料理)
外食の場合、タイ料理は安く日本料理は日本と変わらないか少し高い印象だ。
また、タイ料理も日常使いするフードコートや食堂などと、冷房の効いたレストランとでは価格帯が大幅に違う。
お店の種類別に価格を比較してみたいと思う。
- 屋台:40~60バーツ(176~264円)
- フードコート・食堂:60~100バーツ(264~440円)
- レストラン:100~200バーツ(440~880円)
ちなみに夜にタイローカルのお店で飲み会をする場合は、1人あたり500バーツ(2,200円)程度が相場である。
日本食の場合は屋台やフードコートという選択肢が極めて少ないため、100バーツ未満で食べられる事はあまり無い。
定食の場合は250~300バーツ(1,100~1,320円)で、ラーメンや蕎麦などもこれくらいの価格帯が一般的。これは東京でランチを食べるのとあまり変わらない価格ではないだろうか。
焼肉や居酒屋などを利用してお酒も飲む場合は1人あたり2,500バーツ(11,000円)前後が予算となるため日本よりも少し高い印象があるのだが、タイにとって日本食は外国料理なので仕方ないだろう。
家賃
次は家賃を見ていこう。
物件のサイズにもよるが、バンコクの家賃は東京とあまり変わらないと言われる事もある。
そのため、地方在住の人からするとあまり物価の安さを感じない点の一つとなるかもしれない。
日本人の多く住むプロンポンでの間取り別平均家賃は下記の通り。
- 1ベッドルーム(1LDK):25,000~40,000バーツ(110,000~176,000円)
- 2ベッドルーム(2LDK):50,000~80,000バーツ(220,000~352,000円)
- 3ベッドルーム(3LDK)以上:70,000バーツ以上(308,000円以上)
日本人にとって住みやすいエリアであるプロンポンは家賃相場が他エリアと比較して高めなため、ミニマム10万円くらいが相場となる。
この辺りに住む日本人は駐在員ファミリー層が多く、会社から家賃補助が出ているケースがほとんどだ。
単身者向けのコンパクトな間取りや手頃な価格の物件であれば1ベッドルーム(1LDK)で15,000バーツ(66,000円)前後が相場と言えるだろう。
単身者や移住者におすすめの居住エリアは以下の記事を参考にしてほしい。
水道光熱費・通信費
水道光熱費や通信費は日本よりも安い傾向があるが、使い方によっても異なる。
単身でコンドミニアム住まいの場合の1か月あたりの金額は概ね下記程度が相場となるだろう。
- 水道代:100バーツ(440円)
- 電気代:1,000バーツ(4,400円)
- インターネット代:500バーツ(2,200円)
- 携帯代:500バーツ(2,200円)
タイ生活で驚く事のひとつは水道代の安さだ。
私は過去5年間で水道代が1か月100バーツを超えた事が無い。
インターネット代や携帯代も日本と比較して安い印象を受けるが、最近は日本でも格安SIMが普及しているので、大幅に差がある訳でもなさそうだ。
交通費
バンコクの主な公共交通機関は電車(BTS・MRT)と路線バスで、その他にタクシーやバイクタクシーがある。
トゥクトゥクやソンテウなどローカルな乗り物もあるが、日常生活で移動手段として使用する外国人は少なく、日本に比較対象がないので今回は割愛する。
項目 | 初乗り料金 |
BTS(電車) | 16バーツ(70.4円) |
MRT(地下鉄) | 16バーツ(70.4円) |
路線バス(エアコンなし) | 10バーツ(44円) |
路線バス(エアコンあり) | 15バーツ(66円) |
タクシー | 35バーツ(154円) |
日本と比較するとどの交通機関も価格がかなり安いという印象を受ける。
特にタクシーは1時間程度乗っても1,000円前後となるため、たとえ飲みすぎて終電を逃してしまったとしても震え上がる事はない。
タイで無理なく快適に過ごせる生活費は1か月15万円以上
ここまでで説明した物価を加味し、1か月の生活費を試算してみた。
項目 | 初乗り料金 |
食費 | 15,000バーツ(66,000円) |
日用品費 | 1,500バーツ(4,400円) |
家賃 | 15,000バーツ(66,000円) |
水道光熱費・通信費 | 2,100バーツ(9,240円) |
合計 | 33,600バーツ(147,840円) |
※食費はタイ料理と日本食をミックスして食べる事を想定し、1日平均500バーツで試算。
無理なく快適に過ごすには毎月15万円程度の生活費が必要ということがわかる。
FIRE後の移住を想定しているため、サラリーマンのように毎日電車やタクシーにのって出かける事も無いだろうということで、交通費は表から省いている。
ちなみに上記は「無理なく快適に過ごせる金額」であって、「贅沢しながら楽しく過ごせる金額」ではない。
毎晩居酒屋でお酒をたくさん飲みたい方、毎週ゴルフへ行きたい方、カラオケやナイトクラブへも頻繁に足を運びたい方などはこんなものでは全く足りない。
FIRE後にタイ移住を考えるのであれば、自身がタイでどのような生活をしたいかを想定した上で、十分な資産形成を行う必要がある。
まとめ
今回はタイの物価について細かくまとめてみたが、皆さんはどう感じただろうか。
バンコクの物価は決して安くなく、日本で田舎暮らしをした方が生活費は安上がりになる可能性もある。
たった5年で円安が進み、タイに限らず東南アジア各国の物価がジワジワと上がり続けている。そのため、これまで物価が安いと言われてきたあらゆる国で同じような現象が起きているかもしれない。
現在FIRE後の海外移住に向けて資産形成を進めている方は、移住予定地の物価や生活費を調べ直し、必要な費用を試算し直す事をおすすめしたい。
著者 石田由希(いしだ・ゆうき)
タイ在住ライター
2017年に念願のタイ移住を果たし、現地の日系人材会社で営業兼キャリアコンサルタントの職務に従事。
ライターとしての活動は2019年より開始し、主にタイの暮らしや海外移住に役立つ情報を国内外のメディアで発信中。自身の移住経験を基に、これから海外移住する方が後悔しないためのリアルな情報発信をモットーに、日々執筆をおこなっている。
これまで寄稿したメディアはタイ関連にとどまらず、国内外の旅行関連、地方自治体、食品メーカー、教育機関など多岐に渡る。