FRBとは?仕組みと3つの構成機関を日本銀行と比較しながらわかり易く解説

世界経済の動向を把握するのに欠かせないことのひとつにFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策がある。

いかなる形でも本腰を入れて投資をするとなると、この「FRB」という単語は度々耳にする事になるという程、FRBの動向と世界経済の浮き沈みは切っても切れない深い関係性である。

今回はそんなFRB(連邦準備制度理事会)について、概要と仕組み、そして3つの構成機関などを日本銀行と比較しながらわかりやすく解説していく。

■FRB(連邦準備制度理事会)とは?

FRBとは、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略で、米国の中央銀行であるFED(The Federal Reserve System:連邦準備制度)を構成する要素のひとつだ。

日本で言う日本銀行のような役割を担っており、米国の経済を活性化させるための金融政策を策定・実施している、いわば米国経済のカギを握る機関だ。

FRBの動向は米国だけでなく、日本を含む世界各国の経済にも影響を与えている。

例えば、FRBが金利を引き上げると、米ドルの価値が上がり、円安ドル高になることがある。

そのため、日本国内の経済状況を読み解くためにもFRBの動向を把握する事は必要不可欠なのである。

FRBの動向は世界中で注目されているが、それは、米国経済が世界経済の中心的存在であり、その米国経済を大きく動かすのがFRBだからである。

FRBが実施する金融政策はもちろん、アメリカの金融政策を決定するFRBの会合であるFOMC(Federal Open Market Committee(米連邦公開市場委員会))で、話し合われた内容やFRB議長の発言は、世界経済を動かすことがあるほど、大きな力を持っている。

■FEDを構成する主要な3つの機関

日本の場合は、日本銀行と言う一つの機関が中央銀行として業務を行うが、米国の場合は、主に3つの機関から構成されている点に特徴がある。

それぞれを説明する。

・FRB(連邦準備制度理事会)

・地区連銀(連邦準備銀行)

・FOMC(米連邦公開市場委員会)

 ❶FRB(連邦準備制度理事会)

FRBは議長1人、副議長1人を含む理事7人で組織されている。

FRBはワシントンD.Cにある理事会で、連邦準備制度の統括機関として、金融政策を策定・実施し、具体的な業務は各地の連邦準備銀行(後述)が行っている。

日本では、日本銀行が金融政策の決定から実施まで担当するが、アメリカ合衆国は連邦制では州の権限が強く、中央への不信が強いという特徴があるため、地方に配慮した形の中央銀行制度になっている。

またFRBはアメリカ連邦政府から独立した機関として設計されており、政策決定においては一定の独立性を持っている。これは、FRBの金融政策決定が政治的な圧力や影響を受けないようにするため

ただし、FRBの理事は大統領によって任命され、上院の承認を受ける必要があるため、完全に独立しているわけではない。

 ❷地区連銀(連邦準備銀行)

アメリカの地区連銀(連邦準備銀行)は、連邦準備制度(Federal Reserve System:FRS)の一部を構成する地方銀行のこと。FRBが地区連銀を統括し、金融政策の決定をFOMC(後述)で行うという多層構造が米国の中央銀行制度の特徴となっている。

アメリカ国内には12の連邦準備銀行があり、これらは、全米50州を12地区に分けて管轄して地域ごとの経済状況を考慮しながら、FRBの理事会と連携して金融政策を実施している。

この地区連銀が紙幣や硬貨の発行、決済システムの運営、担当地区の加盟銀行の準備預金を預かるといった中央銀行業務を担う形を取っている。

例えば、ボストン連邦準備銀行、ニューヨーク連邦準備銀行、シカゴ連邦準備銀行などがあり、それぞれの地区で金融機関への貸出や債券の購入などを行っている。

 ❸FOMC(連邦公開市場委員会)

FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)は、アメリカの金融政策を決定する重要な会合。

FOMCでは、政策金利の調整や金融市場の動向について議論され、米国経済の安定を図るための決定が下される。

FOMCはFRBの理事会メンバーと各地の連邦準備銀行の総裁から構成され、定期的に会合を開いて政策の方向性を決定する。通常、年に8回会合を開き、経済指標や市場の動向を分析しながら、政策決定を行う。

FRBの理事7人と12地区の連邦準備銀行総裁(以下、連銀総裁)のうち5人が投票権を有している。

各地区の連銀総裁の5人の内訳としては、ニューヨーク連銀総裁を常任として、残り4人を他の地区連銀総裁から輪番制で選出されることになっている。

FOMCは、日本における日銀の金融政策決定会合、に相当する。

日銀の金融政策決定会合も経済指標や市場動向を分析しながら、政策金利や金融政策の方針を決定する場となっている。

■FRBによる金融政策の目的

 FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策の主な目的は、以下の2つである。

 ❶雇用の最大化:失業率を低く保ち、できるだけ多くの人々が仕事を持てるようにすることを目指す。

 ❷物価の安定: インフレやデフレを防ぎ、物価の安定を図る。

これらの目標を達成するために、FRBは金利の引き上げや引き下げなどの金融政策を実施する。

日本銀行など先進国の中央銀行の多くは、『物価の安定』を目標に掲げるシングルマンデート(1つの使命)だが、FRBは、『物価の安定』と『雇用の最大化』のデュアルマンデート(2つの使命)を持っている点に特徴がある。

■まとめ

今回は、FRB(連邦準備制度理事会)に焦点を当ててみた。

米国経済の動向が世界経済に大きく影響を与えることを鑑みると、投資をする際にFRBについて関心を持つことは不可欠である。

私自身、FRBの動向に常にアンテナを張っており、特に金利の動きに注目している。

なぜならば、金利の動きは、債券や株式の動きに大きく影響するものだからだ。

 参考記事:FIRE実現のための投資-債券投資編

今後はぜひ、FRBの動向を注目しながら投資活動を行うことをお勧めする。

著者 上岡健司

株式会社ユリウス 代表取締役 

IT企業の会社員として30年勤務した後、早期退職を利用してサラリーマンを卒業。会社員時代には、アジア地域3ヵ国に10年以上駐在。在職中にロバートキヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読み感銘を受ける。経済的自由の大切さに目覚め、不動産投資を開始し、約10年掛けて経済的自由を獲得。不動産投資で経済的自由を獲得後、資産運用の一つとして証券投資にも取り組み資産運用の幅を広げている。在職中から税制面など、より効率的な資産運用を目的に資産管理会社を設立。このサイトでは、自身のFIRE実践者としての経験に基づいた情報を発信している。

AFP(日本ファイナンシャルプランナー協会認定)資格取得、宅地建物取引士資格合格

著書

『令和のサラリーマンの為のFIREのススメ』(Amazon電子書籍)

『FIRE Recommendation for Office Employee』(Amazon Kindle)

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