FIRE実現のための投資-株式投資編|割安な株に投資するバリュー投資とは?

株式投資の数ある方法のひとつ「バリュー投資」をご存じだろうか。

バリュー投資を一言で表すと「通常より株価が安くなった状態にある銘柄に投資する」ことで、著名な投資家であるウォーレン・バフェットの投資スタイルとして知られている。

これは、価格が下落するリスクが低い上に、長期的に見れば価格が上昇する可能性が高い投資法である。

今回はバリュー投資の概要と、割安株を見つける方法、メリット・デメリットについて解説したいと思う。

■バリュー投資とは

バリュー投資とは、その企業が生み出した利益や企業そのものの価値が適正に判断されておらず、株価が割安なまま放置されていると考えられる銘柄に投資する手法のこと。

著名な投資家ウォーレン・バフェットの投資スタイルとしても知られている。

企業の財務諸表の分析から適正な株価を算出し、割安なタイミングで購入して、長期保有するという投資方法だ。

割安になったままの株に投資すると、本来評価されるべき株価水準に戻ったときに利益を上げることができる可能性がある。

割安な株を見つけるには、企業の本質的価値を算出する必要があるのだが、この計算の上で重要な指標である2つの指標について、次の章で解説していこう。

■割安株を見つける指標とは?

バリュー投資を成功させるには、その企業の株価が本来よりも割安かどうかを判断できなければならない。

そこで、先ずバリュー投資を成功させる上で不可欠な割安株を見つける代表的な2つの指標を紹介する。

・PER(株価収益率)

・PBR(株価純資産倍率)

❶PER(株価収益率)とは?

PER(株価収益率)は、企業の収益価値を測るための指標であり、以下の計算式で表される。

PER(株価収益率)=株価÷EPS(一株あたり利益)

PERは株価が企業の収益力に対して、どの程度の価値を持っているかを示す指標で、企業の収益価値を判断する為のものである。

PERが低い場合、株価が企業の利益に対して割安であるとみなされることが多く、バリュー投資にとって適切なタイミングだと捉えることが出来る。

ただし、低すぎるPERは市場がその企業の成長性や収益力を低く見積もっている可能性もあるため、注意が必要。

一方で、高いPERの場合、企業の収益成長が期待されている、または市場の評価が高いことを示している。

ただし、過剰に高い場合はバブルの可能性があると捉えることが出来る。

❷PBR(株価純資産倍率)とは?

PBR(株価純資産倍率)は、企業の資産価値を測るための指標であり、以下の計算式で表される。

 PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたり純資産 

PBRは、企業の株価がその純資産に対してどれだけ割高または割安かを示す指標。

PBRが1未満の場合、株価が純資産よりも低く評価されていることを意味する。

従って、資産価値を重視する投資家にとって割安と判断することが出来る。

PBRが1以上の場合は、株価が純資産を上回っており、企業の収益性や成長性など純資産以外の価値で評価されている可能性がある。

資産価値を重視するバリュー投資では、PBRが低い企業を選ぶことで、株価の見直しによるリターンを期待出来る。

■バリュー投資のメリット

前述の指標を用いて割安な株が入手できた場合、以下のようなメリットが期待できる

・株を割安な価格で購入できる

・割安で放置されているので、さらなる株価下落のリスクは小さい

・配当収入の可能性がある

・長期的に価値が上昇する可能性がある

❶割安な株を購入できる

バリュー株は通常、株価が本来の価値に対して低く評価されている企業の株。

企業の財務状態や将来的な成長を見込んで購入することで、割安な価格で投資を始められる。

❷下落リスクが比較的低い

割安に取引されているため、大幅な下落リスクが低い場合が多い。また、すでに低い株価で購入するため、比較的安心感がある投資戦略と言える。

❸配当収入の可能性がある

バリュー株は成熟企業であることが多く、安定した配当を提供する可能性がある。

これにより、定期的な収益を期待する投資家にとって魅力的な投資対象となり得る。

参考記事:FIRE実現のための投資-配当株編

➍ 長期的に価値が上昇する可能性がある

市場がその企業の価値を再評価するタイミングで、株価が上昇する可能性がある。

長期的に投資することで、収益を得るチャンスが増える。

バリュー投資のデメリット

投資初心者や小額から投資を始める方にとっても魅力的なバリュー投資だが、以下のようなデメリットもある事を理解しておこう。

・投資対象を決めるのは簡単ではない

・株価が安値状態から戻らない可能性がある

❶投資対象を決めるのは簡単ではない

バリュー投資は、企業の本質的価値よりも株価(時価総額)が過小評価されているときに、その銘柄を購入するやり方。

しかし、「言うは易く行うは難し」で企業の本質的価値がどれくらいなのかを知ることは簡単なことではない。

PER・PBR が低いだけで判断するのではなく、企業の財務状況なども考慮して判断することが要求される。

また株価に影響を与える他の要因(例えば、金利、経済情勢、競争状況など)も考慮する必要がある。

❷株価が安値状態から戻らない可能性がある

株価が割安である理由が根本的な問題(例えば業界の衰退など)によるものである場合、企業の成長性が改善しない、もしくは企業業績が更に悪化する可能性がある。

株価が割安に見えるが、実際にはその価値が戻ることがなく低迷し続ける状況を、「バリュートラップ」と呼ばれる。

単に株価が安いから買い時と思って投資した際に、実際にはその安さは一時的なものではなく、価値が更に下がるリスクをも含んでいる。

■まとめ

今回は、割安な株を見つける方法「バリュー投資」について解説した。

投資を始める際には、多くの人が「少ない資本で大きなリターンを得たい」と考えるだろう。バリュー投資はこの考えにピタッと当てはまる魅力的な投資法のひとつと言えるが、デメリットもつきものだ。

投資の基本原則である「安く買って高く売る」は、シンプルだが「言うは易く行うは難し」の典型例である。

PERやPBRについての概要も説明したが、それを知っただけで投資を成功させることは難しい。

ただし、「他人が買っているから買う」であるとか、「S&P500などの指数は安全だと他人が言っているから買う」と言った判断基準から一歩抜け出すキッカケになればと思い記事にしてみた。

基本的な知識を知ることで自分自身のルールや基準を持つ一助になれば幸いだ。

著者 上岡健司

株式会社ユリウス 代表取締役 

IT企業の会社員として30年勤務した後、早期退職を利用してサラリーマンを卒業。会社員時代には、アジア地域3ヵ国に10年以上駐在。在職中にロバートキヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読み感銘を受ける。経済的自由の大切さに目覚め、不動産投資を開始し、約10年掛けて経済的自由を獲得。不動産投資で経済的自由を獲得後、資産運用の一つとして証券投資にも取り組み資産運用の幅を広げている。在職中から税制面など、より効率的な資産運用を目的に資産管理会社を設立。このサイトでは、自身のFIRE実践者としての経験に基づいた情報を発信している。

AFP(日本ファイナンシャルプランナー協会認定)資格取得、宅地建物取引士資格合格

著書

『令和のサラリーマンの為のFIREのススメ』(Amazon電子書籍)

『FIRE Recommendation for Office Employee』(Amazon Kindle)