【北海道・函館編】五稜郭戦略―「侍CEO」のようにキャリアを転換し、デジタル資産を築く方法
サブタイトル:AI革命を生き抜き、企業から脱出するための榎本武揚からの教訓

1. 【導入】北の大地にそびえる、未完の理想郷
夏の爽やかな風が吹き抜ける函館・五稜郭タワーの展望台。ガラス越しに眼下に広がるのは、鮮やかな新緑に彩られた完璧な星型の巨大な城郭だ。その圧倒的な幾何学模様を見下ろしながら、パツパツの紺スーツを着たチー太が、片手に持ったエナジードリンクを握りしめている 。「うわあ……すごいなレイチェル。まるで宇宙から降ってきたような機能美だ。榎本武揚はここに旧幕臣たちの『理想の国』を作ろうとしたんだね。でも結局、新政府軍に敗れて夢は潰えた。なんだか、組織の中で必死に理想のプロジェクトを立ち上げようとしては、上層部の政治に潰されていく僕のサラリーマン人生を見ているみたいで胸が締め付けられるよ」
隣でリネンのサマースーツを涼しげに着こなすレイチェルが、アイスブルーの瞳で静かに五稜郭を見つめたまま微笑む 。「今日のチー太は随分と感傷的ね。でも構造を履き違えているわ。榎本の夢は『潰えた』のではないのよ。彼はここで、古い幕藩体制というOSを捨て、明治政府という『新しい時代のシステム』へ移行するための壮大な要件定義を行ったのよ。失敗をただの敗北で終わらせず、次の大事業へのヒントに変える。これぞまさに宇宙の法則の体現よ」
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2. 潔く散った土方と、生き残った榎本の不条理

五稜郭公園内へ進み、復元された「箱館奉行所」の重厚な正面玄関を見上げる。和風建築でありながら近代的な合理性を感じる要塞の中心だ。かつて1868年、榎本武揚率いる旧幕府艦隊がここに「蝦夷共和国」を樹立し、国際法に基づいた新しい国家を作ろうとした野心の跡が漂う。
タワー展望台に戻ると、アイドルのような人気を集める土方歳三の銅像が佇んでいる。歴史はここで、二人の対比を鮮烈に残した。 農民出身の土方は、武士としての生き方にこだわり、己の美学のために函館の地で潔く散った。一方で、生粋の幕府エリートだった榎本は、形骸化した徳川の看板ではなく、己の「能力と知恵」という無形資産を信じていた。だからこそ、降伏後もその圧倒的な造船や国際法の知識というテクノロジーを惜しまれ、釈放後に明治政府の要職で大活躍した。
「いい、チー太?多くの人は土方の『美しい死』を称賛するわ。でも投資家思考で言えば、本当に強いのは榎本よ 。彼は『徳川』という会社が倒産した時、その看板と心中しなかった。自分が持つ本質的な知恵だけをポータブルに持ち出し、新しい市場で即座にレバレッジを掛け直したのよ。『人は今持っている能力の中で成功できる』という法則そのものね」
実際に歩いた五稜郭の堀は、江戸城と比べると驚くほど低い。「死角をなくす究極の機能美」と称される星型要塞だが、外から大砲を撃ち込まれれば内部まで届く構造だ。素人ながらにも、味方の側にも相当な火力が必要なのではないかと感じる。
3. 自分だけのデジタル要塞を創れ

「歴史は繰り返すわ 。現代は『サラリーマン時代の終わり』であり、AI革命の真っ只中よ」 とレイチェルは言葉を継ぐ。かつて土方は冷めた頭脳で「武士の時代の終わり」や「天然理心流の活躍の場が消えること」を悟っていたはずだ。それは現代のホワイトカラーの事務処理能力や知識が、生成AIによって一瞬で代替され、存在意義を失っていく姿と完全に重なる。
高度経済成長期以来の成功モデルは音を立てて崩れている。都会に出て良いポジションを得ようとすること自体が時代遅れであり、従業員の多さが企業の力の証明にならない時代が来ている 。会社に依存し、組織の肩書に殉じて我慢し続ける生き方は、資本主義の歪み(r>g )の中で搾取される檻の中の動物と同じだ。
「榎本は五稜郭という物理的な石垣を築いたけれど、現代の私たちは生成AIという最強の従業員をほぼ無料で率いることができるわ。初期リスクを最小限に抑え、自分だけのキャッシュフローを生む『デジタル不動産』、つまり現代の五稜郭をネット上に要件定義するのよ。組織に媚を売るのではなく、自分がビジネスオーナーとして旗を立てるの」
チー太の目に野生の輝きが戻る。「なるほど……!榎本武揚はダメ元で黒船を動かし、新しい国をデザインした。だったら僕は、会社という動物園の檻の中でハラハラして祈るのをやめるよ。AIプロンプトを駆使して、給料に依存しない『自分の土俵』を創り上げる。鏡の向こう側へ抜けて、長くお金持ちでいるためのインフラを建設してみせるぞ!」

4. 【結び】国際物流部門・緊急アラート

チー太が五稜郭の星型に向かって「俺は現代の榎本武揚になるんだ!」と夕日に叫んだ瞬間、ポケットの中でスマートフォンがけたたましく鳴り響いた 。画面には「国際物流部門・緊急アラート」の文字。
レイチェルが特製のアイスティーを喉に流しながら、クスリと優雅に微笑む。「素晴らしい決意ね、チー太。でも、あなたの蝦夷共和国が建国される前に、現実のマーケットからアラートが入っているわよ。通関手続きの遅れで、函館港に到着予定の国際貨物書類に重大なミスマッチが発生したみたい。今すぐ現場の実務としてダブルチェックの対応をしてちょうだい。忘れないで、人生にタダ働きは無いのだから」
「なんてことだ!大量のコンテナ書類のチェック?!異国情緒を楽しんでいる場合じゃないぞ! 今すぐAIに『一瞬で通関書類の不整合を検出して自動修正するPythonスクリプト』を組ませなくちゃ! 榎本さん、いや土方さん、僕のパツパツの紺スーツがストレスではち切れる前に助けてくれ~!」
がっくりと肩を落とし、まるで切腹を覚悟した新選組隊士のような青い顔で、タブレットに猛烈な勢いでプロンプトを打ち込み始めるチー太。その横で、完全にシステム化された未来を見据えるレイチェルは、ただ涼しげに北の大地の風を感じていた。
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「このキャラクターと設定は、独自のドクトリンに基づく株式会社ユリウスの知的財産です」
■著者プロフィール
著者:上岡 健司
AFP(日本ファイナンシャルプランナー協会認定)、宅地建物取引士資格合格
株式会社ユリウス代表取締役タイ・ベトナムなどアジア3カ国で10年以上の企業経営経験を持つ投資家・メディアオーナー。自社での不動産・金融資産運用を実践しながら、資本主義の構造を活用したライフスタイルを発信中。著書多数。
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